車窓に映ったその景色。オリンピックの町(2)

 でもでも一方では、ロイヤルウエディングを迎える素敵な出会いもあったのですよ

 当時のスウェーデン王室の王太子でもあったのが、カール・グスタフ16世現国王陛下。

 この方がミュンヒェン・オリンピック競技を見学に来られたのです。

 それでもってこの王太子。

 お若いころは物凄いかっこよろしくて、ついでに名うてのプレイボーイだったとか。

 そこで運命の出会いが起こります。

 大会の受付係のお仕事をされていたのがジルフィア・ゾマラートさん。

 このジルフィアさんの笑顔に魅せられた王太子はこう声をかけたそうです。

 「よろしければ今晩、僕と一緒に踊りに行きませんか?」

 かっこいいですねえ。そうしたらそのジルフィアさん

 「ええ。ぜひ!ご一緒させていただきたいです。」

 そうしてこのミュンヒェン・オリンピックでの出会いを大切に育み、

 その4年後にはロイヤルウエディングを迎えます。

 1976年6月19日。

 挙式が執り行われたストックホルム大聖堂。

 実におおよそ25万もの市民がこの挙式を見守りそして世界へ向けて衛星中継されます。

 アイボリーのドレスに身を纏った花嫁と、盛装の出で立ちが凛々しい王太子。

 そうしてよく晴れた6月のさわやかなストックホルムの空。

 世の女性方はこのメルヒェンさながらのウェディングの実況中継の放送をご覧になって

 「まあなんてお美しい!」と息を呑んだのです。

 この出来事からおおよそ50年の歳月を数えますが、スウェーデン王室は

 メディア各紙の紙上を賑わせるようなゴシップや浮気沙汰などとは一切無縁!の王室なのです。」

さてさてそんな1972年は日本では昭和47年。

どんな出来事があった一年だったのでしょうか?

そんな一例も、プロフェッショナル添乗員たるやノートに準備しておきましょう。

この年、山陽新幹線の新大阪から岡山区間が開通。

そしてこの年の秋、東京の上野動物園では中国からやってきた2頭のジャイアントパンダ、リンリンとカンカンが初公開され、長蛇の列をなして入園者が訪れ大人気!

それからそれから、漫画界では池田理代子さんの「ベルサイユの薔薇」が連載スタート。少女たちの間で人気沸騰。

この年のベストセラー書籍は田中角栄氏「日本列島改造論」、それから司馬遼太郎さん「坂の上の雲」などだったそうです。

ついでだからその当時の日本の平均的な物価も覗いてみましょう。

ラーメン1杯が140円!

喫茶店のコーヒーが1杯150円!

映画館800円!

大卒初任給(公務員)47200円!

銭湯40円!などなど。

そんなこんなでバスの車窓から通りすぎる景色でお話する時は景色なんてあっ!っという間に通りすぎていきますから、要領よくお話を組み立てておかないといけません。

それは添乗員たちのプロとしての普段の過ごし方の賜物ともいえます。

ミュンヒェンのオリンピック記念公園を車窓から見る時、いつも思い出す言葉があります。

それはある記録映画のタイトルにもなりました。

時よ止まれ / 君は美しい / ミュンヒェンの17日間。

《車窓に映ったその景色。オリンピックの町 完》